高い買い物で後悔しない「減価償却」思考術|月あたりコストで判断する3ステップをFPが解説

お金・マネー

こんにちは、野良FPです。

今回は、高い買い物で後悔しないための考え方――「減価償却思考」をお話ししようと思う。

【この記事の結論】

  • 高額な買い物は「総額」ではなく「1ヶ月あたりのコスト」で判断すると失敗が減る
  • 計算は簡単。購入価格×0.9 ÷ 使う月数 = 月あたりコスト
  • その金額を「毎月払ってでも使いたいか?」と自問するだけで、衝動買いによる後悔はぐっと防げる
  • モノは売却でお金が戻る可能性がある点が、何も残らないサブスクとの決定的な違い

金額の大きい買い物をする機会は、誰にでもたまにあると思う。たとえば車、ブランドの財布、ゲーム機、パソコンなど――。そして、「買ってしまってから後悔した」という経験も、一度はあるのではないだろうか。

そんな失敗を防ぐために私がおすすめしたいのが、「減価償却」の考え方で買い物をとらえてみることだ。

そもそも減価償却とは

減価償却とは、高額なものの費用を「使う期間に分けて」少しずつ計上していく会計上の考え方をいう。

本来は企業の会計や税務で使われる手法だが、これを個人の買い物に当てはめると、「この品物は1ヶ月あたりいくらのコストなのか」を見える化できる。

この「月あたりのコスト」が、自分にとって妥当かどうか――。それを買う前に考えるだけで、無駄な浪費はぐっと減らせるのだ。

※ここで紹介するのは、税務上の正式な減価償却(法定耐用年数や定額法・定率法に基づく計算)とは異なる、買い物を判断するための簡略版だ。あくまで「考え方のツール」として使ってほしい。

実際に計算してみよう(10万円の品物の場合)

やり方はとてもシンプルだ。ここでは、使い終わったあとに残る価値(残存価値)を、購入価格の1割として計算してみる。

ステップ1:購入価格に0.9をかけて、償却する金額を出す

100,000円 × 0.9 = 90,000円 (残りの1割=10,000円は「残存価値」として残しておく)

ステップ2:償却する金額を、使う期間(月数)で割る

3年間(36ヶ月)使うと考えるなら、

90,000円 ÷ 36ヶ月 = 1ヶ月あたり 約2,500円

つまりこの品物は、「毎月2,500円を払って使っているようなもの」と考えられる。

【早見表】10万円の品物を何年使うかで月コストはこう変わる

使用期間月あたりコスト(残存価値1割で計算)
1年(12ヶ月)約7,500円
2年(24ヶ月)約3,750円
3年(36ヶ月)約2,500円
5年(60ヶ月)約1,500円

同じ10万円でも、長く使えるものほど月コストは安くなる。「高いけど長持ちするもの」と「安いけどすぐ壊れるもの」の比較にも、この表の考え方がそのまま使える。

「月2,500円」は、自分にとって妥当か?

ここが、いちばん大事なポイントだ。

1ヶ月あたりの金額が出たら、「これを毎月払ってでも使いたいものか?」と、自分自身に問いかけてみる。

月2,500円を高いと感じるなら、その買い物は考え直したほうがいいかもしれない。逆に「それなら安い」と思えるなら、納得して買える。

この一手間があるだけで、勢いや衝動による「買って後悔」は、かなり防げるはずだ。行動経済学でいう「システム1(直感)」の暴走に、「システム2(熟考)」でブレーキをかけるイメージである。

サブスクとの違い――売れば「戻ってくる」

この考え方には、もう一つ良いところがある。モノは手元に残り、売ればお金が戻ってくる可能性があることだ。

先ほどの例では、残存価値として1割(10,000円)を残していた。もし3年使ったあとにフリマアプリなどで10,000円より高く売れれば、その差額は「得をした」と感じられる。毎月払って何も残らないサブスクとは、ここが決定的に違う。

「使い倒したうえに、売却でプラスにもなりうる」――そう考えると、高い買い物も、少し前向きにとらえられるのではないだろうか。

なお、リセールバリュー(再販価値)が高いジャンル――たとえば人気ブランドの時計や一部のゲーム機など――は、残存価値を1割より高く見積もってもいい。逆に、値崩れの激しい家電などは残存価値ゼロで計算しておくと安全だ。

よくある質問(FAQ)

Q1. この計算は税務上の減価償却と同じですか?

A. 異なります。税務上の減価償却は法定耐用年数や定額法・定率法など正式なルールに基づいて計算しますが、本記事で紹介したのは買い物判断のための簡略版です。事業用資産の経理処理には使えませんのでご注意ください。

Q2. 残存価値はなぜ1割で計算するのですか?

A. あくまで目安です。計算を簡単にしつつ「売ればいくらか戻る」という現実を反映させるための設定なので、リセールバリューの高い品物は2〜3割、値崩れしやすい品物は0割など、実態に合わせて調整してかまいません。

Q3. 使う期間はどう見積もればいいですか?

A. 「自分が実際に使い続けられそうな期間」を正直に見積もるのがコツです。スマホなら2〜4年、パソコンなら3〜5年、車なら5〜10年あたりが一般的な目安ですが、過去に同じジャンルの品物を何年使ったかを振り返ると、より現実的な数字になります。

Q4. サブスクと買い切り、どちらが得ですか?

A. 月あたりコストを揃えて比較すれば判断できます。買い切りの月コスト(本記事の計算式)とサブスクの月額を並べ、さらに「買い切りは売却でお金が戻る可能性がある」「サブスクは常に最新版が使える」といった性質の違いを加味して選ぶのがおすすめです。

まとめ:買う前の3ステップ

高い買い物で後悔しないために、購入前にこの3ステップを試してほしい。

  1. 購入価格 × 0.9 で「償却する金額」を出す
  2. 償却する金額 ÷ 使う月数 で「1ヶ月あたりのコスト」を出す
  3. その金額が、自分にとって妥当かどうかを考える

たったこれだけで、お金の使い方はぐっと締まる。ぜひ一度、あなたの「次の大きな買い物」で実践してみてほしい。

それでは、また。野良FPでした。


この記事を書いた人 野良FP:ファイナンシャル・プランニング技能士。物流業界で約25年働いた経験を持つ現役の個人事業主FPとして、暮らしに身近なお金の疑問を「実務目線」で解説しています。

免責事項: 本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、税務上の減価償却の正式な計算方法とは異なります。事業用資産の会計・税務処理については税理士等の専門家にご確認ください。

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